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それ、月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)かも。産後はひどくなるって本当?

この記事では、月経前症候群(PMS)と月経前不快気分障害(PMDD)についてまとめました。

これらは産前産後に違いがあるのか、うまく付き合って生活するにはどうすればよいのかを

解説しています。

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PMSとPMDDとは【違いを知ろう】

日本国内において生殖年齢女性(周期的な排卵・月経がある女性)の70~80%は月経前になにかしら

心と身体の変調を自覚しており、そのうち約半数はこれらの症状により日常生活に支障をきたしていると

いわれています。

さらに社会生活が困難になるような中等症以上のPMSやPMDDの女性は生殖年齢女性の5~8%と

報告されており、PMSやPMDDに気づかず医療機関を受診していない女性も少なくありません。

月経前症候群(PMS)

PMSには身体症状と精神症状があります。

診断をされるには、過去3か月の月経周期において月経前5日間にそれぞれの症状が少なくとも1つ存在し、

さらにこれらの症状は月経開始後4日以内に消失し、少なくとも13日目までは再発しない。またこれらの

症状は薬やアルコールなどによるものではなく、その後2周期(2か月)にわたって繰り返し起こり、

社会的、経済的、学問的活動に明らかな障害を示す場合にPMSと診断される。

とされていますが、要するに生理前に身体的もしくは精神的になんらかの症状が出て日常生活に支障を

きたしているという状態のことです。

【身体症状】

  • 乳房痛・乳房の張り
  • 腹部膨満感(お腹の張り)
  • 頭痛
  • 関節痛・筋肉痛
  • 体重増加
  • 手足のむくみ

【精神症状】

  • 抑うつ
  • 怒りの爆発
  • イライラ
  • 不安
  • 混乱
  • 社会からのひきこもり

これら症状のうち1つでも生理前に出現し、生活に支障をきたしている場合は一度産婦人科へ受診し、相談して

みましょう。

PMSは排卵が終わり月経までの期間、とくに月経が近づいてくると(月経開始前1週間)症状が出現します。

月経がはじまっても下腹部の張る感じが持続したり、頭痛・下腹部痛がひどい場合はPMSではなく

月経困難症の可能性があるので注意が必要です。

月経前不快気分障害(PMDD)

PMDDとはPMSの症状のなかで精神症状が際立って強く表れている状態のことで、月経前になると

気分変動、イライラ、抑うつ、倦怠感、不安などの症状で仕事や会社へ行けなくなることもあります。

月経開始1週間後から穏やかな気持ちで過ごせるようになります。

【Aの症状】

  • 気分変動が激しい、情緒不安定
  • ひどくイライラする、すぐに怒る、対人関係での摩擦の増加
  • 著しい抑うつ気分、絶望感、または自己卑下の気持ちが現れる
  • 著しい不安や緊張

【Bの症状】

  • 仕事・学校・趣味・友人関係などに対して興味が薄れる
  • 何事にも集中できなくなる
  • 倦怠感、疲れやすさ、気力が著しくなくなる
  • 食欲の著しい変化、過食、特定の食べ物だけを大量に食べるなど
  • 不眠や過眠が強く現れる。意欲が低下しすぎてひきこもる
  • 圧倒される、自分自身をコントロールできなくなる
  • 他の身体症状:乳房痛、関節痛、筋肉痛、腹部膨満感、体重増加

診断にはAの症状のうち1つ以上あり、AとBの症状を合わせて5つ以上の症状があることが必要です。

また5つ以上の症状があることに加えこれらの症状により日常生活や対人関係に支障が出たり、

症状はほぼ毎月月経前に現れ、月経がはじまるとともに消失し、月経後はほとんど症状を認めないこと、

これらの症状が1年以上続いており、受診から2か月間も同様の症状が続くときにPMDDと診断されます。

おかん

基本的にPMS、PMDDは症状がみられる時期が【生理前】と限定されているんやな!少しでも違和感を感じたら自己判断せず受診しよう!

このPMSとPMDDの2つは似ていますが医学的には非なるものとして区別されています。

月経がある女性ならいつでも誰にでも発症する可能性があります。だからこそ多くの女性に

この存在を知ってほしいのです。

PMSとPMDDとは【原因】

PMSやPMDDの原因については明らかになっていませんが、女性ホルモンが深く関わっていることはわかります。

それは思春期前の小児や閉経後の女性には症状はみられず、

女性ホルモンを抑制する薬剤(子宮内膜症や子宮筋腫の治療薬で偽閉経療法として用いる薬剤)の使用で

PMS、PMDDの症状は改善し、この薬剤を中止すると症状が再出現するからです。

わずかなホルモンバランスの変化とその他の内分泌因子や環境因子が絡み合うことで発症すると考えられています。

PMSやPMDDを発症するリスク因子は多くあり、セロトニンの作用低下や飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣に

加え、肥満やうつ病、不安神経症、パニック障害などの精神疾患の既往などが挙げられます。

喫煙者女性はPMS、PMDDの頻度が非喫煙者女性の4倍を超えるという報告があります。

また職場のストレスが発症の引き金となり、症状が悪化することもあります。

精神疾患の既往がある女性は、月経前に精神症状がひどくなることが知られており、これは月経前増悪(PME)と

言われています。PMEを疑う場合は速やかに精神科を受診することを勧められます。

PMSとPMDDとは【対処法・治療方法】

対処療法

  1. 症状がいつあったか把握する
  2. 日常生活、食生活の見直し

①症状がいつあったか把握する

月経がはじまった日を1として月経周期、日付、症状を記録しましょう。

ネット検索でPMS症状日記のような症状と日付を記入できるチェックリストがダウンロードできます。

ご自身でカレンダーやアプリを活用して記録するのもおすすめです。

自分自身でいつどのような心身症状が起こるのかを把握することができますし、

受診の際にこの記録を提示すると診察に活用できます。

②日常生活、食生活の見直し

ストレスがPMSやPMDDの症状をひどくすることが知られています。そのため規則的な生活習慣や適度な運動、

気分転換、カルシウムやビタミン、たんぱく質を十分に摂取し、ストレスをうまく発散し付き合う必要があります。

また月経前にはコーヒーやアルコールといった刺激物を控え、塩分の少ない食事を心がけましょう。

適度な運動としては、脳内麻薬といわれるエンドルフィンが気分を高揚させ、苦痛や痛みを感じにくくする

ホルモンのため、しっかり作用させるために多少息が上がる有酸素運動を30分以上行うと良いとされています。

また同時にセロトニンも運動により分泌されますので、運動による症状改善は期待できます。

加えてセロトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから作られ、肉や魚、乳製品や大豆製品、

いわゆる高たんぱく食を食べるとよいです。

カルシウムも精神状態と深く関わっていますから、カルシウムを多く含む食品を追加するのもおすすめです。

おかん

セロトニンは怒りの感情暴発を防ぐ幸せホルモンやで~!
めちゃくちゃ大事なホルモンやわ

薬物療法

  1. 経口避妊薬
  2. 漢方
  3. 偽閉経量法
  4. 抗うつ薬

①経口避妊薬

経口避妊薬または低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬、これらはピルという言葉で耳にすることが

多いですね。

これらの薬剤は排卵を抑制するためPMSやPMDDを出現させないのがねらいです。ただどちらもホルモン剤のため

場合によってはPMSの症状が悪化することがあったり、血栓症の副作用で稀に心筋梗塞の脳梗塞などが起こる

可能性があり、使用できる方には条件が伴います。

②漢方

東洋医学の視点から更年期障害をはじめ女性のホルモンによる不調は漢方を用いることも多いです。

また不眠やむくみなどに対して対処療法として睡眠薬や入眠剤、利尿剤などを使用する場合もあります。

③偽閉経量法

閉経するとPMSやPMDDの症状が消失するため、ホルモンレベルを閉経の状態にする治療法です。

子宮内膜症や子宮筋腫に治療の際に使用する薬でもあります。副作用としては更年期障害の症状が

出現するとされています。薬の使用には期限があるため医師と相談して治療にあたります。

④抗うつ薬

PMDDに効果があるとされていますがPMDD が重症である場合は精神科での治療が必要になる場合があります。

PMSとPMDDとは【産後との関係】

妊娠・出産を経験するとPMSやPMDDがひどくなるといった変化が生じることがあります。

必ずしも変化があるわけではなく個人差があります。

妊娠・出産で女性の体内ではホルモン分泌が大きく変化します。妊娠期で増えた妊娠継続ホルモンは

出産と同時に一気に減少し、その後時間をかけて少しずつもとに戻っていきます。この過程の途中で

産後の生理、排卵の再開を迎えますが、この再開時期にも個人差は大きく、ホルモン分泌も不安定です。

そのため妊娠前よりPMSやPMDDの症状が強くなったと感じるようです。

また年齢の変化も症状の重さに関係されているといわれており、PMSは思春期ごろに症状がではじめ、

その後年齢を重ねるごとに症状が重くなっていくようです。妊娠前から産後にかけて年齢を重ねたことで

PMSの症状が重くなっている可能性も考えられます。

PMSとPMDDとは【まとめ】

PMSやPMDDは生理前にあって当然ではありません。また月経困難症と勘違いしている場合も少なくありません。

定期健診も含め、産婦人科へ受診・相談することをためらわないで過ごしてほしいです。

女性はどのライフステージにおいてもホルモン分泌の変化と隣り合わせで生きています。ご自身の些細な不調に

気づけるよう、身体と心に耳をかたむけられる時間をつくりたいですね。

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