妊娠中の楽しみのひとつ、胎動。赤ちゃんとのコミュニケーションとも言われ、赤ちゃんの様子がわかる大切な感覚です。
そんな胎動ですが、実は赤ちゃんの動き方によって感じ方が異なります。つまり、胎動によって赤ちゃんが何をしているのかわかるのです!
今回は、胎動の種類ごとに赤ちゃんが何をしているのか、どんな意味があるのかを解説していきます。胎動の正常な頻度や感じやすい体勢、胎動が痛いときの対処法も併せて解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
胎動とは?初めて胎動を感じる時期や感じる位置も
そもそも胎動とはなんでしょうか?
実は正確な定義がわかっていないという方も多いはず。
以下では、胎動の定義や感じ始める時期、感じる位置など基本的な知識について確認していきます!
胎動とは?定義をご紹介!
胎動とは、その名の通り「胎児の運動」のことを指します。
妊娠20週目を過ぎると外側からも胎児の動きがわかるようになるため、それ以降の動きを「胎動」と呼ぶ場合も多いですが、実は赤ちゃんはもっと前から動いているんです。
妊娠8週目あたり(妊娠2〜3ヶ月ごろ)から赤ちゃんは手足をバタバタと動かし始めるのですが、まだ身体が小さいため、エコー検査などでしか確認できません。
ママが胎動を感じられるようになるのは、赤ちゃんの筋肉が発達してきて、羊水の中で活発に動き回るようになってからです。
参考サイト:胎動はいつから感じるの?|NIPT Japan
胎動を感じ始める時期は?何週からが多いの?
胎動をママが感じ始めるのは、赤ちゃんの手足が子宮壁にあたるほど大きくなってくる妊娠20週目(5ヶ月目)以降です。
妊娠21週〜22週が多いとされていますが、胎動を感じ始める時期は非常に個人差が大きく、胎動を感じ始めるのが遅いからといってただちに問題があるということにはなりません。
ママの体型や意識の向け方などに影響されますが、一般的に経産婦よりも初産婦の方が胎動を感じにくいと言われています。
妊娠22週あたりから少しずつ胎動が感じられるようになった後、段々と赤ちゃんが激しく動くようになります。
さらにその後、出産間近の臨月になると今度は胎動が小さくなっていきますが、これは赤ちゃんが出産に向けて母親の骨盤に入り込んでくるからです。体長50cm近い赤ちゃんにとって、大きく動けるだけのスペースがなくなるのです。
ただし、よく「出産間近になると胎動がなくなる」と勘違いされがちですが、この時期になっても赤ちゃんの動きが小さくなるだけで、胎動の頻度自体は大きく変わりません。
臨月間近に胎動が全くなくなった場合は要注意です。
参考サイト:産科(妊娠中に注意すべき症状)|JA秋田県厚生連 平鹿総合病院
胎動を感じる位置はどこ?
胎動を感じる位置は、おへその下あたりです。
妊娠20〜30週ごろになると、子宮底(子宮の一番上の部分)がちょうどおへそあたりになるため、そこで赤ちゃんの動きを感じられるようになります。
胎動の種類と意味|胎動で赤ちゃんの様子がわかる!
お腹に意識を向けて赤ちゃんの動きを感じていると、胎動にもいくつか種類があるのがわかります。
”ブルブル”といった動きから”ポコポコ”といった動きまで様々な胎動がありますが、実はこれによって、赤ちゃんが何をしているのか、その様子がわかるんです!
以下では、胎動の種類ごとにその意味や赤ちゃんの動きをご紹介していきます。
“ピクピク”という心拍みたいな動きは赤ちゃんのしゃっくり
妊娠初期に感じることの多い”ピクピク”という心拍に似た動きは、赤ちゃんがお腹の中でしゃっくりをしていることで感じる胎動です。
妊娠20週頃から赤ちゃんはしゃっくりを始めるようになりますが、これは生理現象なので、頻度が高くても低くても問題ありません。
最初の頃は腸が動いているような微弱な動きしか感じられないかもしれませんが、意識してみると段々赤ちゃんの動きがわかるようになりますよ。
“ブルブル”という動きは皮膚刺激への反応
”ブルブル”という、マナーモードのような震えは、赤ちゃんが皮膚刺激に反応することで起こるものです。
赤ちゃんの神経が発達してくると、筋肉が神経とつながり、皮膚刺激に段々と反応するようになるんです。
妊娠後期に感じられる”ブルブル”とした胎動は、赤ちゃんが羊水を飲んで排泄している場合もあります。
“ドゥルン”という勢いのある胎動は赤ちゃんの回転
妊娠中期に頻繁に感じられるようになる、”ドゥルン”という大きな胎動は、羊水に浮かんでいる赤ちゃんが身体を上下左右に大きく回転させている証拠です。
赤ちゃんの元気な動きがわかりやすい胎動ですが、赤ちゃんが大きくなる妊娠後期には感じられなくなってしまうため、妊娠中期のうちに楽しんでおきましょう!
“ポコポコ”の連続はキックをしているか飛び跳ねた赤ちゃんの頭
”ポコポコ”とした、デコピンを連発しているような胎動は、赤ちゃんが足でお腹をキックするか、飛び跳ねた赤ちゃんの頭が子宮壁にあたることで起こります。
妊娠後期に感じることの多い胎動で、この胎動は外からもわかりやすく、外見から赤ちゃんの様子がわかります。お父さんと一緒に胎動を感じたいという方はぜひこの時期を狙ってみてくださいね。
正常な胎動の頻度|激しいとダウン症?弱いけど大丈夫?
胎動を感じ始めると、お腹の中の赤ちゃんの動きが一般的なのか、何か問題を抱えているのか、不安が生じてきますよね。
胎動を感じる頻度や動きの大きさには個人差が大きく、一概に正常かそうでないかを判断することができません。
1日に何度も胎動を感じるママもいれば、妊娠7ヶ月目までほとんど胎動を感じなかったという方も。
赤ちゃんが元気かどうかを判断する基準は、”普段の赤ちゃんの様子”です。
1日に1回「胎動カウント」をしてみて、”いつもと同じ”であることが正常の目安となります。
「胎動カウント」の方法は記事下部でご紹介するので、そちらをご覧ください。
健診で問題なければ大丈夫!胎動だけではダウン症は判断できない
胎動が少ない・弱いという場合も、健診で問題がなければ基本的には問題ありません。
初産であったり、胎盤の位置がお腹側にあったりといった原因で胎動が感じにくいだけ、という場合が多いのです。
いつもより胎動が少なくなったというときも、赤ちゃんが寝ているだけの場合もあるので、焦らずにもう1度時間をおいて試してみましょう。
逆に、胎動が激しいからといって胎児に何か問題があるということもありません。
胎動が激しいのは赤ちゃんが元気に成長していることの証拠であり、当然の現象です。
胎動が激しいとダウン症の疑いがある、という俗説がありますが、胎動だけではダウン症の判断はできません。
実は、よく言われている胎動と性格の関連性も科学的に実証されていないのです。
ただし、胎動が少なくなって不安なときなど、母体のストレスになりそうな場合は病院で問題がないか診てもらうのも手です。
病院に行くことによる大きなデメリットはありませんし、病院に行く準備をするまでの間に赤ちゃんが起きて再び動き始めるなんてこともあります。
実際に病院で診てもらう場合は、(妊娠30週以降であれば)胎児の心拍数を40分ぐらい記録するNST(ノンストレステスト)を実施して赤ちゃんが元気か否かを確認していきます。
参考サイト: 胎動が多いか少ないかわからないです|公益財団法人日本産婦人科医会
胎動は赤ちゃんとのコミュニケーション!胎動カウント・キックゲームをしよう
胎動を感じ始めたら、「胎動カウント」や「キックゲーム」でお腹の赤ちゃんとのコミュニケーションをはかりましょう!
「胎動カウント」は、赤ちゃんがどのくらい動く子なのかを知るための計測です。
胎動カウントを毎日行うことで、お腹の赤ちゃんの「正常」を知ることができ、異常があってもすぐに気づけるようになります。
「キックゲーム」はママとお腹の赤ちゃんとのコミュニケーションで、胎児教育のひとつです。
胎動を使って、お腹の中にいる赤ちゃんとゲームをしていきます。1ヶ月ほどかけて徐々にステップアップするので、焦らず気長に挑戦してみてくださいね。
詳しい方法は以下の通り。リラックスして臨んでください!
胎動カウントのやり方
①食後や就寝前など、ママがリラックスしているタイミングで、左側を下にして横になります。
②赤ちゃんがはっきりと10回動くのに何分かかったかを計りましょう。
毎日続けて赤ちゃんの様子を観察することが重要です!
赤ちゃんが寝ている場合もあるので、あまりにも頻度が少ない場合は時間を空けて再度挑戦してみましょう。
キックゲームのやり方
①赤ちゃんが蹴ってきた場所を「キック」と言いながらポンと叩きます。
②赤ちゃんが1〜2分で蹴り返してくるので、また同じ場所を「キック」と言いながらポンと叩いてください。すると、また同じ場所を赤ちゃんが蹴り返してきます。
③①〜②を繰り返し、慣れてきたら今度は赤ちゃんが蹴ってきたところとは違う場所を「キック」と言ってポンと叩いてください。
④③を1〜2週間繰り返すと、赤ちゃんが叩いた場所を蹴り返してくれるようになります。
⑤上記の手順に慣れてきたら、「キック、キック」と言いながらお腹をポンポンと2回叩きましょう。すると、赤ちゃんは2回同じ場所を蹴り返して応答してくれます。
以上の手順を経ると、段々と赤ちゃんがママが叩いた場所を、叩いた回数だけ蹴り返してくれるようになります。
ただし、キックゲームの進み方は赤ちゃんの性格によるところが大きく、すぐに全てのステップをこなす子もいれば、しばらく時間がかかる子もいます。
なかなか成功しない場合も、1ヶ月ほど時間をかけて辛抱強くステップアップしていきましょう。
胎動を感じやすい体勢は?
胎動は、仰向けに寝ている姿勢やリラックスして座っている姿勢だと感じやすいです。
ただし、お腹の赤ちゃんが寝ているタイミングだと感じやすい体勢で待っていても感じられないため、胎動がわからないという場合もリラックスして何回か挑戦してみましょう!
パパに感じてもらうにはどうしたらいい?
パパが胎動を感じられるようになるのは、ママよりももっと遅く、妊娠25週目以降です。
しかし、妊娠25週目以降になってもママ以外の人に話しかけられたり、触られたりすると赤ちゃんは緊張で動きを止めてしまいます。
そのため、パパがお腹の中の赤ちゃんにたくさん話しかけて、パパの声を覚えてもらうことが重要です。
1週間程度でパパに反応を見せる子もいれば、2〜3週間程度かかる子もいるので、めげずに話しかけ続けるのがコツです。
就寝前など、リラックスしている時間帯にママとパパ、赤ちゃんの3人でコミュニケーションの時間をつくってみるのもおすすめです。
胎動が痛い!胎動が痛いほど激しいときの対処法は?
胎動は赤ちゃんの成長を感じられる嬉しいものですが、ときには日常生活に支障が出るほど激しく動き回る場合も。
胎動が痛いのは赤ちゃんが元気な証拠なので、赤ちゃんの心配は必要ありませんが、痛いところをさすったり、温めたりと、ママが楽になるための緩和方法は積極的に試してくださいね。
胎動が痛いときの具体的な対処法としては、以下のものがあります
胎動の感じ方には個人差が多い|不安があれば病院へ
胎動の感じ方は個人差が大きいもの。
基本的には健診で問題なければ胎動が少ない・激しいことで過度に心配する必要はありませんが、胎動以外に問題がある場合や、不安が母体のストレスになってしまう場合は病院を受診するのがおすすめです。
受診の目安としては、以下の通り。
妊娠5〜6ヶ月 | 感じていた胎動が急に少なくなった場合は受診 |
妊娠7〜8ヶ月 | 横になって1時間ほど安静にしても胎動を感じられない場合や、いつもより明らかに胎動が少なくなっている場合は早めに受診 |
妊娠9〜10ヶ月 | 1時間以上全く感じなくなった場合はすぐに病院を受診 |
胎動はこの時期にしか体験できない、赤ちゃんとの貴重なコミュニケーションです。
不安を解消して、リラックスして赤ちゃんと向き合ってくださいね!